cocoropafeのつぶやき

お読みいただきましてありがとうございます  日々のことをおもむくままに日記っぽく記録しています

水を求めて三千里④

↓前回までのあらすじ

cocoropafe.hatenablog.com

 

 

・・・・・・・したの?

 

・・・・・・・したの?

 

遠くの方から何かが聞こえてくる・・・

 

・・・・・・したの?

 

「・・・・・どうしたの?」

 

どこからか声が聞こえてくる

しかし、視界はまっくらだ

 

だんだん声が聞こえてくるようになってきた・・・

 

 

「どうしたの?」

 

「どうしたの?」

 

「俺か?・・・・分からない・・・。何も見えない。視界がまっくらなんだ」

「どうしたの?」

「・・・・・喉がすごく渇いたんだ・・」

「どうしたの?」

「・・・・・喉がすごく渇いたから、水を求めて動き出したんだ」

「どうしたの?」

「・・・そしたら、ここにたどり着いたんだ」

「・・・・・・。」

一瞬、間が空いた。

「ここにたどり着いたんだ。しかし、飲めないんだ。すぐ目の前に水が流れているというのに

飲めないんだ・・・手をのばせば届きそうなのに・・届かないんだ」

「立ち入り禁止なんだ・・柵があるんだよ。柵があって入れない。すぐそこに水があるというのに・・・・。」

 

「・・・売ってるよ」

「・・・なんだって?」

「売ってるよ」

「なにがだ?」

「水だよ。売ってるよ」

「・・・水が・・売っているだと・・・!?」

「そうだよ。売っているよ」

「・・・・・・・。」

 

彼は言葉を失った

 

「君はなにを考えているのかい?ここは日本だよ」

「あぁそうだ。ここは日本だ」

「そう。ここは日本。世界でも有数の水の国。」

「そうだな。」

「蛇口をひねれば水が出てくるよ」

「・・・・・・!?」

「蛇口をひねれば水は出てくるんだよ」

「・・・・・確かに・・そうだな」

「そして、あの柵がぼく達を守ってくれているんだ」

「・・あの柵が?・・・ぼくたち・・?」

「そうだよ。この滝を流れるこの水はあの富士山の湧き水なんだ」

「この滝とこの水とこの川をあの柵で人間から守っているんだよ」

「ふじさん・・・・そうか!あの大きな山は富士山か❗️」

「そうだよ。日本一の山 富士山 だよ」

「そうか・・だからこんなに綺麗で透き通っているのか」

「柵で守っている・・・・・そうか、この環境は維持していかなければならないな」

「・・・・ん?・・にんげんから・・・?」

「君は・・・いったい誰なんだ?」

「君はいったい・・・」

 

急に遠くの方から一瞬で光が視界いっぱいに飛び込んできた

 

「はっ!?」

 

彼は目を覚ました

 

「いったい・・なんだったんだ・・・・」

「誰がしゃべりかけていたんだ・・・・」

 

彼はゆっくりと起き上がった

 

「そうか・・気を失って倒れたんだ・・」

 

 

「ん?・・あれ?・・・・喉の渇きが無くなった・・・」

 

彼はもう一度、何かを確かめるように辺りを見回した

 

f:id:cocoropafe:20200427163411j:plain

 

f:id:cocoropafe:20200427163426j:plain

 

f:id:cocoropafe:20200427163445j:plain

 

「とても綺麗な景色だ」

「すがすがしい・・・とても気分がいい」

 

 

彼は意識がもうろうとしていたのに

今はまるで別人のように

心穏やかで優しい顔をしていた

 

「さて・・・帰るか・・・」

 

彼は自然の雄大さと寛容、優しさ、ときに厳しさを知ったように感じた

そして、水の大切さもあらためて認識した

この自然を人間の手で失わなさないように心に誓った

 

彼はまたバイクにまたがり走り去っていった・・・・

 

 

 

〜 完 〜

 

youtu.be